螺鈿家具

螺鈿について

螺鈿細工の施された華麗な調度品は、その時代の最高の格式と富を誇る人々の暮らしを優雅に彩ってきました。

螺鈿細工とは、夜光貝、白蝶貝、黒蝶貝、孔雀貝など宝石のような七色の輝きをもつ貝を、ひとつひとつ薄く削っては紋様のかたちに切り、漆地に嵌め込む丹念な技法です。

中でも日本の国宝や重要文化財に名を連ねるのが「高麗螺鈿」です。紀元前1世紀頃、朝鮮半島で編み出されたこの技法による芸術品は皇室に伝わる御物や宮内庁所蔵の作品にも世界的至宝が存在します。

名匠たちの技巧の粋を凝らした工芸品は、その繊細豪奢な美しさから平安期には宮廷や貴族への献上品として珍重されます。しかし材料の稀少性と洗練を極めた技巧ゆえに、次第にその技法は失われ、「幻の芸術品」となりました。

 

松鶴紋シリーズについて

■「千代の松」は長寿と生命力、「牡丹」は富、「梅」は力、そして「双鶴」は子孫繁栄の象徴として貴ばれてきました。これら吉祥づくしの意匠を全面にちりばめた本コレクションは、まさに家宝にふさわしいものです。その圧倒的な豪華さは客間を華麗に演出し、訪れる方は息をのまれるでしょう。さらに細部に目をうつせば、繊細精緻な美しさを賛嘆されるにちがいありません。いまや国内では入手困難な螺鈿細工を、ご尊家に所蔵されるまたとない好機です。

■客間に通されたご来客が、思わず感嘆の声をあげずにはいられないほどの、贅を極めた絢爛たる座卓です。 千代の松、牡丹、紅梅、そして雌雄の双鶴と飛来する鶴の群れを、画面いっぱいに描いた壮麗な作品。漆黒の画面に七色の輝きが乱舞するさまは、絢爛たる一幅の絵画を思わせます。座卓の周囲の艶やかな文様はまさに百花繚乱。さらに、座卓の脚には鳳凰の意匠があしらわれた、まさに「吉祥づくし」の逸品です。

孔雀紋シリーズについて

■ 螺鈿座卓『吉祥孔雀』は高麗螺鈿一筋40年の鄭鐘基(じょんよんぎ)氏による至高の家具調度品。制作に1年以上をかけ、孔雀が圧倒的存在感を放つ超大作を完成させました。絢爛たる輝き、脚部まで施された立体感あふれる意匠はすべて夜行貝や白蝶貝、黒蝶貝などの内側にある真珠質部分を一つひとつ極薄に削って表現したもの。漆地に美しくはめ込むには、完璧に象ることが不可欠ですが、当代随一の名人の神業には寸分の狂いもありません。

■ まず目を奪われるのは、ルビーレッドにエメラルドの如くきらめく目玉が美しい雄の孔雀の羽。その様子はこの世を謳歌するよう。対面の雌は雄壮な姿に見惚れ、風にたなびく薄野で佇みます。もちろん、主役の2羽に花を添える草木等の表現も見事。咲き誇るのは百花の王・牡丹と吉祥花・ハクモクレン。幸運のかささぎと蝶の舞いは華麗という言葉が実によく似合います。

鄭鐘基 略歴

1977年 河東工芸社を設立
1982年 韓日木漆工芸交流展(日本大阪)
1985年 第10回伝承工芸展入選
1988年 韓国ソウルオリンピック記念伝統工芸展(展示)
1990年 日本名古屋三越百貨店(河東工芸展)
1991年 日本大阪INDEX伝統工芸展 出展
1998年 伝承工芸大賞 受賞
2001年 日本山口県JAPAN EXPO 出展
2003年 第31回東亜工芸大賞 入選
2005年 日本愛知県世界万国博覧会(EXPO 2005)出展
2006年 伝統工芸展(重要文化遺産展示館)
2008年 伝統工芸名品展(INSAART GALLERY)
2010年 中国上海世界万国博覧会 韓国館 出展
2012年 韓国麗水世界万国博覧会 出展

崔台文 略歴

1973年 螺鈿漆器 入門
1993年 京東漆器工房 設立
1998年 大韓家具工業協同組合 表彰状
2001年 中小企業協同組合中央会 表彰状
2002年 明知大学校 伝統工芸学科 終了
2003年 大韓民国伝承工芸大展 入賞
2007年 ソウル市技能競技大会 金賞
2008年 全国技能競技大会 銀賞
2009年 原州漆工芸大展 特賞
2009年 皇室工芸大展 最優秀賞
2010年 原州漆工芸大展 特賞
2012年 第4回国際芸術大展 総合大賞
2013年 韓国芸術文化団体総連合会名人認定取得
2014年 第5回韓国螺鈿漆器技能大会作品公募展大賞
2015年 江原伝統文化芸術協会分科会長任命
2018年 第17回原州市韓国漆器工芸大展 大賞